【院長コラム】猫背やお口ポカンが歯並びを崩す?歯と「姿勢」の意外な関係
「うちの子、いつも猫背だけど大丈夫?」「気づくとお口がポカンと開いている…」
子育て中の保護者様から、こうしたご相談をいただくことがあります。歯並びの乱れというと遺伝や歯のサイズの問題を思い浮かべがちですが、実は日常の呼吸法やお口周りの癖、姿勢も影響し合う要素の一つです。
本記事では、加須市のりえこ歯科矯正歯科クリニックの院長が、お口周りの習慣・姿勢と歯並びの関係、そして健やかな成長を支えるアプローチについて分かりやすく解説します。
歯並びとお口周りの筋肉・習慣の関係
歯並びや骨格の位置には、顎の大きさや歯のサイズといった遺伝的・骨格的要因に加えて、唇・頬・舌などお口周りの筋肉の使い方や日常の癖も関係しています。
歯は内側からの「舌の力」と、外側からの「唇や頬の力」の双方を受けています。日常の癖によってこの力のかかり方に偏りが生じると、歯並びや噛み合わせ(不正咬合)に影響を及ぼすリスクが高まると考えられています。短時間の一時的な癖で急激に変化するわけではありませんが、長期間にわたって習慣化している場合は注意が必要です。
- 姿勢や日常の習慣(猫背・頬杖・うつ伏せ寝など): 顎や頭頸部の位置、お口周りの筋肉の使い方に影響を与える可能性が指摘されています。
- お口周りの癖(口呼吸・お口ポカン・指しゃぶり・爪噛みなど): 歯に偏った力が加わり続けることで、出っ歯や開咬(上下の歯が噛み合わない状態)を招く一因になります。
- 舌の癖(低位舌・舌を突き出す癖): 飲み込むたびに舌が歯を押し、歯列の広がりや前歯の突出に影響を与えることがあります。
- 食べ方の癖(片側噛み・早食い・軟らかいもの中心の食事): 顎の筋肉や骨への刺激が減り、健全な発育を妨げる要因となることがあります。

「お口ポカン(口呼吸)」が及ぼす影響
日常的に口が開いている「口呼吸」の状態は、歯並びだけでなくお口や全身の環境にも関わってきます。
顎の発育と顔貌への影響 口呼吸が続いているお子さまでは、舌が本来収まるべき位置(上顎)に収まりにくくなり(低位舌)、上顎の横幅が狭くなったり、開咬や交叉咬合などの不正咬合がみられたりする傾向があります。また、下顔面高の増加や口元の突出など、特徴的なお顔立ちにつながる可能性も指摘されています。
口腔内環境の悪化 口呼吸によって唾液の分泌量が減り口内が乾燥すると、自浄作用が低下し、むし歯や歯周病(歯肉炎)、口臭のリスクが高まります。
全身への影響と鼻疾患のチェック 口呼吸がみられる場合、アレルギー性鼻炎やアデノイド・扁桃肥大など、鼻呼吸を妨げる背景が隠れているケースもあります。いびきや睡眠中の呼吸の乱れ、日中の強い眠気が気になる場合は、小児科や耳鼻咽喉科へのご相談も大切です。
お口の機能を整える「口腔筋機能療法(MFT)」
こうした口腔機能の改善を目的として行われる方法の一つが、口腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)です。MFTでは、患者さんの状態や成長段階に合わせて、お口周りの適切な機能を身につけるトレーニングを行います。
MFTでアプローチする主な機能
- 安静時の正しい舌の位置(スポット・上顎)の習得
- 口唇の適切な閉鎖と鼻呼吸の習慣化
- 正しい咀嚼(噛み方)と嚥下(飲み込み方)のトレーニング
お口周りの筋肉は頭頸部や姿勢とも相互に関連しているため、日常の姿勢を見直すことも、お口の機能を整えるうえで補完的な役割を果たします。

成長期に検討される機能矯正装置
3歳〜15歳ごろのお子さまを対象に、お口の癖の改善や成長のサポートを目的とした取り外し可能な装置が用いられることがあります。
- マイオブレース(Myobrace®): 日中1〜2時間と就寝時に装着し、MFTと組み合わせながら鼻呼吸や正しい舌の位置を習得していくマウスピース型装置です。
- プレオルソ: 日本人の骨格や成長パターンに合わせて開発された装置で、出っ歯・受け口・開咬などの状態に応じて選択されます。
- Vキッズ・マイオレイ: 乳歯列期(3歳〜)のお子さまのお口の機能育成をサポートするVキッズや、年齢に応じた併用装置(マイオレイ)なども存在します。
子どもの矯正で大切なポイント
小児期の矯正治療は、顎の成長や歯の生え変わりを活用できるメリットがあります。
- 状態に応じた時期の選択: 「早く始めれば良い」というわけではなく、不正咬合の種類や歯の萌出状態、骨格、本人の協力度に合わせて適切な開始時期を判断します。
- 治療選択肢の広がり: 早期に顎の発育や歯並びを評価することで、成長を利用したアプローチを選択できる場合があります。ただし、抜歯の必要性を含めた最終的な治療方針は、精密な診断のもとで決定されます。
- 機能面の改善による安定性: お口の癖や舌の使い方を改善しておくことは、将来的な歯並びの安定にもつながります。
まとめ

歯並びの乱れは、歯そのものの位置だけでなく、呼吸や舌の使い方、姿勢といった複合的な要因が関係しています。猫背やお口ポカンといったサインに早めに気づき、必要に応じてお口の機能を整えていくことは、将来の健やかな体づくりの第一歩になります。
「子どものお口の癖が気になる」「矯正が必要か確認したい」という方は、加須市のりえこ歯科矯正歯科クリニックまでお気軽にご相談ください。当院では患者様一人ひとりの成長段階に合わせた丁寧なカウンセリングを行っております。木曜日を除き、平日は18時半まで、土曜は17時まで診療しておりますので、ご都合に合わせてご相談ください。(駐車場10台分完備)。
【関連リンク】
- 前回の記事:【院長コラム】子どもの歯並びは「噛む力」も大切!咀嚼と食育について解説
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監修歯科医師
りえこ歯科・矯正歯科クリニック
院長 大澤理恵子
【経歴】
1993年明海大学歯学部卒業
明海大歯科矯正学講座
大澤歯科医院(1995年~2014年)
田沼歯科医院
昆歯科医院
【所属学会・資格】
日本矯正歯科学会会員
東京矯正歯科学会会員
日本病巣疾患研究会会員
エグゼクティブコーチング協会認定プロコーチ
米国NLP協会認定マスタープラクティショナー
口育研究会会員オーラルマネージャー
日本予防歯科学会会員
日本ヘルスケア歯科学会会員


